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不動産所得と事業所得は何がどのように違うのか、あなたは答えることができますか?
不動産所得も事業所得も、同じ「所得税」として確定申告することに違いはありません。
しかし所得の種類や性質が異なることから、税金の計算方法が変わるという違いがあるのです。
今回は、
について解説していきます。
【目次(もくじ)】
不動産所得とは、「土地や建物」を「貸したとき」に発生する所得であると定義されています。
敷金や礼金、保証金や権利金、家賃や地代などが当てはまります。
不動産所得として認められるためには、取り扱うのが「土地や建物」などの不動産である必要があります。
自動車や機械などの「動産」を貸した場合は、不動産所得ではなく事業所得や雑所得になります。
次に、土地や建物といった不動産を「貸す」ことが前提となります。
不動産を売却して得た利益は、不動産所得ではなく譲渡所得になります。
そのため一口に不動産投資といっても、リセールバリューを狙って売却すれば譲渡所得になりますし、貸すことで収益を得るのであれば不動産所得となるという違いがあるのです。
事業所得とは、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業などを営んだときに発生する所得であると定義されています。
不動産仲介業者が受け取る仲介手数料は敷金や礼金、保証金や権利金ではないため、事業所得として取り扱うことになります。
サラリーマン大家が仲介手数料を受け取ることは現実的ではないため、ここでは家賃や地代収入などが事業所得になるかどうかを論点とします。
サラリーマン大家が受け取る家賃や地代収入が事業所得であるかどうかを判定する基準には、以下8つの項目があります。
不動産を貸すことで生じる収益は不動産所得となるのが大原則です。
しかし、例外としてこれらの項目に当てはまる不動産所得は事業所得として認められることになる、ということになります。
不動産所得は事業所得として認められたほうが得であるといえます。
なぜなら、事業所得だけに適用される控除があるだけでなく、所得者に有利な計算方法が適用されるからです。
具体的な相違点は、以下の4つがあります。
それでは、不動産所得が事業所得として認められるには、どのような条件が必要になるのでしょうか?
不動産所得が事業的規模として認められるには、土地と建物を分けて考える必要があります。
土地を貸し付ける事業を行っている場合は、その事業が前述した以下8つの項目に当てはまることが条件となります。
たとえば、土地の貸付けを親族や知り合いなどに限定して行っている場合は、
という客観的な事実が認められることから、3の営利性や6の労力負担があるとは認められません。
そのため、事業所得として認められず不動産所得で確定申告を行うことになるのです。
建物を貸し付ける事業を行っている場合は、以下の5棟10室基準のどちらかに当てはまれば事業所得として認められます。
たとえば、
という場合で考えてみましょう。
どちらのサラリーマン大家も上記の条件を満たしていないため、事業所得ではなく不動産所得で確定申告を行うことになります。
損益通算とは、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の赤字を一定のルールに従って他の所得の黒字で補てんすることです。
たとえば不動産所得で赤字が出てしまっても、給与所得で損益通算することができるため、不動産所得の赤字を補てんすることができます。
もし損益通算することができなければ、赤字を補てんすることができないだけでなく、赤字が出る前と同じ所得税を支払わなければならないのです。
たとえば不動産所得で20万円の赤字が出て給与所得700万円で損益通算することができれば、給与所得は700万円ではなく680万円で所得税の計算をすることになります。
もし損益通算しなければ、給与所得は700万円で所得税の計算をすることになるため、税金は赤字分を考慮されない元の金額のままで申告・納税することになります。
所得税の税率は695万円を境に20%か23%で分かれるため、損益通算した場合と損益通算しない場合を比較すると、以下のようになります(控除額は入れずに単純に計算した場合)。
総所得金額 | 税率 | 税額 | |
---|---|---|---|
損益通算した場合 | 680万円 | 20% | 136万円 |
損益通算しない場合 | 700万円 | 23% | 161万円 |
不動産所得も事業所得も損益通算をすることができるため、事業的規模にならない不動産所得で赤字が出ても、損益通算をすることによって所得税の負担を軽くすることができます。
ただし、
は損益通算の対象外となる点で注意が必要です。
サラリーマン大家が不動産を貸した場合、消費税はかかるのでしょうか?
土地を貸した場合、消費税はかかりません。そのため、消費税を納税する必要はありません。ただし、
は、消費税がかかります。
住宅を貸した場合、消費税はかかりません。そのため、消費税を納税する必要はありません。
住宅には消費税がかかりませんが、商業ビルや事務所などを貸した場合は消費税がかかります。
消費税がかかる場合でも、
などに納税義務が発生します。
そのため、消費税が発生したその年にすぐ消費税の確定申告が必要になるわけではありません。
サラリーマン大家に消費税の納税義務が発生するかどうかは個々の取引形態によって異なるため、税理士などの専門家に相談することをオススメします。
不動産所得と事業所得の見極め方について、以下4つにまとめます。
「不動産を貸すことで生じる収益は原則として不動産所得」「5棟10室基準や事業的規模に当てはまる場合は事業所得になる」という2つの原則を理解しておきましょう。
そうすればサラリーマン大家が不動産所得と事業所得のどちらで確定申告をすればよいのかを見極めることができるようになります。
・不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1370.htm
・事業としての不動産貸付けとの区分
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1373.htm
・建物貸付けは、同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、貸付けに係る維持管理等の程度が実質的には相当低いとして、不動産所得を生ずべき事業に当たらないとした事例
http://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0202030000.html
・所得税の税率
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
・損益通算
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2250.htm
・消費税_地代、家賃や権利金、敷金など
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6225.htm
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